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電源設計ツール Webench Designerを使ってみよう

技術コラム

2018年 8月29日

電源コラム

電源設計ツール Webench Designerを使ってみよう!
TI社では、HP上から利用可能な電源設計ツール 『Webench Designer』 が用意されています。
ネット接続環境が必要ですが、このツールを使用すれば、電源回路の設計を自動で行うことができます。
1つの入力電源から1つの電圧を作成する回路の他、1つあるいは、それ以上の入力電圧から2つ以上の電圧を作成することも可能です。
このツールを使用するためには、myTIへの登録が必要となります。
myTIへの登録は無料で、この登録により、『Webench Designer』を使用できます。
マイコンコラムのここに、登録方法があります。
では、Webench Designerを使用して、まず、1つの入力電源から1つの電圧を作成する方法を紹介します。
Webench Designer』を使用する方法として、以下の2つがあります。
① 入力条件/出力条件を指定して、出力された一覧表からデバイスを選定する。
② まず、電源デバイスを選定して、入力条件/出力条件を指定する。
また、1つ、あるいはそれ以上の入力電圧から2つ以上の電圧を作成することも可能です。
それでは、入力条件/出力条件を指定して1つの電圧を作成する方法を試してみましょう。
入力条件/出力条件を指定して1つの電圧を作成
TIのホームページからWEBENCH® デザイン・センターへ移動できますが、今回は下記のページをアクセスします。
Webench Designer
以下のページが表示されます。

図1.1 WEBENCH デザイン・センター画面
WEBENCH
ここでは、DC入力の例で記載します。また、負荷は単一(1つの出力)とします。
まず、上記画面右側の赤枠部分に、設計したい電源の仕様を入力します。
以下の項目を入力してください。
・入力電圧 : 最小、最大
・出力   : 出力電圧、負荷電流
今回は、
・入力電圧 : 最小 22.8V、最大 25.2V
・出力   : 出力電圧 5V、負荷電流 1.5A
とします。
入力後、[設計を開始] ボタンをクリックしてください。

図1.2 Webench Designer ソリューション選択画面

と表示されます。
ここではFET内蔵タイプである「Integrated」を選択します。赤枠の箇所をクリックしてください。
下記のような使用デバイス案一覧が表示されます。

図1.3 Webench Designer 使用電源デバイスの選定画面

この中で、「LMR23615-WSON」を選定します。
赤枠のボタンをクリックしてください。
下記のように、その設計結果が表示されます。

図1.4 回路設計結果の表示画面

回路図以外に「最適化のための調整」、「チャート」、「熱シミュレーション」、「部品リスト」等が表示されます。
まず、「最適化のための調整」を変更してましょう。
電源部品の占有面積小さくするためダイヤルを左に回し、‘1’の位置にすると、下記に変化します。

図1.5 回路設計結果の表示画面(占有面積最優先)

占有面積が189mm2から97mm2に減少しました。小さいコイルを使用するためにスイッチング周波数は400kHzから2.2MHzと高くなっています。
今度は、効率を重視してみましょう。ダイヤルを右に回して、’5’に設定します。

図1.6回路設計結果の表示画面(効率最優先)

部品の専有面積は392mm2に増えましたが、効率は94%まで上昇しました。このときのスイッチング周波数は200kHzと表示されています。
このようにダイヤルを変えることにより、システムで要望される設計を行うことができます。
次に回路図を開きましょう。

図1.7 回路設計結果の表示画面(回路図選択)

赤枠の「回路図」をクリックします。
すると、以下のように、設計された回路図が表示されます。

図1.8 回路設計結果 回路図の表示画面

赤字で表示されている部品については、マウスカーソルを当てることにより、詳細の部品名が表示されます。
また、選定結果によっては、部品を一覧表から再選定できる場合もあります。
回路図の確認が終わりましたら、チャートを確認します。

図1.9 回路設計結果 回路図の表示画面(チャート選択)

赤枠で囲まれた「チャート」のボタンをクリックしてください。

図1.10 回路設計結果 チャート表示の画面

効率、位相補償特性、Duty Cycle等が表示されます。また、「他のチャートを見る」をクリックすることにより、チャートの追加も可能です。
各チャートを確認して問題がなければ、部品表一覧(BOM)を表示させましょう。

図1.11 回路設計結果 チャート表示の画面(BOM選択)

赤枠で囲まれた「BOM」のボタンをクリックしてください。

図1.12 回路設計結果 BOM表示の画面

更に、エクスポート:「Excel」のボタンを押せば、このBOM Listを出力できます。
次に、設計データをPDF fileにプリントアウトしてみましょう。

図1.13 回路設計結果 BOM表示の画面(プリント選択)

赤枠で囲まれた「プリント」ボタンをクリックしてください。

図1.14 回路設計結果 プリント出力の設定画面

赤枠で囲んだ「Print Report」ボタンをクリックます。
出力されたレポートをマウスの右クリック「名前を付けて保存(A)」にて、保存してください。

図1.15 回路設計結果 Report表示の画面

赤枠で囲んだ「設計をシェア」ボタンをクリックます。

図1.17 回路設計結果 設計シェア先の指定画面

赤枠にシェア先のE-Mailアドレスを記入し、赤枠の「この設計をシェア」ボタンをクリックします。
以上でシェア先にE-Mailが送付され、シェアが可能になります。


電源デバイスを選定してから設計する方法

次に、まず電源デバイスを選定してから設計する方法を記載します。
要件は、①の入力条件/出力条件を指定する方法と同様に、
・入力電圧 : 最小 22.8V、最大 25.2V
・出力   : 出力電圧 5V、負荷電流 1.5A
とします。

今回は、「LMR23625」を選定した場合を記載します。

図2.1 TI社 ホームページ

赤枠内に「LMR23625」と入力し、「??」マークをクリックします。

図2.2 電源デバイス 「LMR23625」 検索結果の画面

右側に「LMR23625」が表示されました。その下に「WEBENCH Designer LMR23625」と表示された赤枠内に、要件を入力します。

入力後に「Open Design」をクリックします。

2.3 回路設計結果の表示画面(LMR23625)


この画面は、1つの出力を作成する手法の「図1.4 回路設計結果表示画面」とほぼ同じですが、「LMR23625」を使用して出力されています。
この後は、1つの出力を作成する手法と同様に変更及び出力が可能です。
「入力条件/出力条件を指定して1つの電圧を作成」の「図1.4 回路設計結果表示画面」以降を見てください。


1つの入力電圧から2つ以上の電圧を作成

最後に、2つ以上の電圧を出力する回路を作成してみましょう。

図3.1 WEBENCH デザイン・センター画面

まず、複数負荷の画面を表示するため赤枠のボタンをクリックします。

図3.2 WEBENCH デザイン・センター画面(複数負荷表示)

次に、赤枠の「Power Architect」をクリックします。
以下のように表示されます。

図3.3 複数負荷仕様設定の画面
ここでは、
・入力電圧 : 最小 22.8V、最大 25.2V
・出力 3電圧
①出力電圧 5V、 負荷電流 1.5A
②出力電圧 3.3V、負荷電流 1.2A
③出力電圧 1.8V、負荷電流 2A
として設計してみましょう。

図3.4 複数負荷仕様設定の画面(負荷数増加ボタン選択)

3出力ですので、負荷を2つ追加する必要があります。赤枠の「負荷を追加」を2回クリックします。

図3.5 複数負荷仕様設定の画面(負荷数を3つに増加)

次に、赤枠に入力します。

図3.6 複数負荷仕様設定の画面(電源仕様入力 及び 設計指示ボタン)

入力が終わりましたら、赤枠の「プロジェクト要件を送る」をクリックします。
以下の通り、設計結果が表示されます。

図3.7 ソリューション案提示の画面

赤枠で示されたとおり、2案が表示されました。
今回はこの内、ID:301の“5V Rail”案を採用することにします。

図3.8 詳細設計画面(TPS6208818選択)

ID:301をクリックし、赤枠を参照します。以下の構成が表示されています。
24V ⇒ 5V (2.229A) ⇒ 5V  1.5A
            ⇒ 1.8V  2A
   ⇒ 3.3V 1.2A

詳細を表示させるには、「設計の詳細を見る」をクリックしてください。

図3.9 詳細設計画面(TPS54334)

まず、5V作成回路の詳細が表示されました。
また、電源回路毎の電力損失値、BOSコスト、フットプリントが円グラフにて表示されます。

図3.10 詳細設計画面(代替レギュレータ選択)

この5V 作成回路は、他のデバイスに変更可能です。この場合、赤枠のリストから選択します。
例として、「LMR23630AFDDAR」をクリックすると以下の様に変化します。

図3.11 詳細設計画面(LMR23630)

BOMコストは少し上昇しましたが、フットプリントは大きく減少して電力損失も少し小さくなりました。

図3.12 詳細設計画面(TPS6208818選択)

次に、赤枠の「SUPPLY_2 TPS6208818」をクリックしてみましょう。
1.8V作成回路の詳細が表示されました。

図3.13 詳細設計画面(TPS6208818選択)

ここでもデバイスを変更可能ですが、今回はこのままとします。

図3.14 詳細設計画面(プロジェクト作成選択)

各出力電源回路の確認が終われば、赤枠の「Create Project」をクリックすることにより、1電源毎の詳細確認が可能です。
これは、1つの出力を作成する手法の「図1.4 回路設計結果表示画面」とほぼ同じ機能の画面です。
また、設計結果Reportの出力も可能です。

図3.15 個別回路設計結果の表示画面

赤枠内の他の出力電源回路をクリックすることにより、電源毎の詳細情報表示を変更することができます。

この様に、1出力の電源設計及び2つ以上の出力電源回路の設計を容易に行うことができます。

以上のように『Webench Designerを使用する場合、3種類の導入があります。
みなさんの設計要件に合わせて、ご選択ください。

いずれの導入方法を取られても、指定された条件での回路の設計が可能です。
なお、電源デバイス以外の抵抗/コンデンサ/コイル等は『Webench Designer』に登録されたものだけで作成されます。注意が必要です。
実際に使用される場合で、これらの部品を相当品への置き換えなどは、設計結果のReportを出力した後に検討してください。
このToolを活用すれば、電源回路設計の時間を大幅に削減できますので、ぜひお試し&活用してください。

(おしまい)

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