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UCC25630-1EVM291を使用した高効率、低雑音のLLC直列共振コンバータの評価

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技術コラム

2018年 2月19日

電源コラム

UCC25630-1EVM291を使用した高効率、低雑音のLLC直列共振コンバータの評価

「超軽負荷時にも高効率を実現する絶縁電源用LLCソリューション」の第2回としまして第1回でご紹介しましたTIの最新LLC ICを搭載した絶縁コンバータ評価基板UCC25630-1EVM-291 (http://www.tij.co.jp/tool/jp/ucc25630-1evm-291) の実機ユーザー側のProfessional目線から厳しくご評価いただきました。負荷応答でも共振外れを起こさず、また軽負荷低待機電力を実現しています。

Texas
Instruments社製首記評価ボードを使用して下記の項目を実施しLLC直列共振コンバータ動作の妥当性を確認しました。

目次

1 始めに
2 PFC回路後の絶縁型コンバータに最適です
3 定常状態の動作波形
4 負荷急変時の動作波形
5 入力電圧投入時動作波形
6 入力電圧遮断時動作波形
7 バーストモード動作波形
8    出力電流トランジェント波形
9   バースト時の消費電力
10 まとめ


1 始めに
 近年,スイッチング電源は,小型化の要望に応えるため,動作周波数を上げることが検討されています。動作周波数を上げることは,出力フィルタやスイッチングトランスの小型化には有効ですが,一方で,スイッチングロスの増加による効率の悪化や,スイッチング雑音の増加などが問題となります。
 LLC直列共振コンバータは,スイッチング電流が正弦波状のため,素子がソフトに動作し,さらに,スイッチング素子の寄生容量を使用したゼロ電圧スイッチング(ZVS)が可能なため,高い動作周波数でも,高効率で低雑音を可能にしたコンバータです。
 しかし、直列共振コンバータの欠点として、軽負荷にすることが難しく、また循環電流による効率の悪化や、 入力のON/OFF、出力の無負荷/全負荷切り替えなどの時、共振外れを起こし過電圧過電流が発生する可能性があります。
 今回、UCC25630-1EVMは、そのようなLLC直列共振コンバータの欠点をどのように改善しているか評価してみました。

2 PFC回路後の絶縁型コンバータに最適です
 最近のデジタル家電は,高調波規制に対応するため入力に力率改善(PFC)回路が内蔵されていることが多々あります。PFC回路は,基本的にブーストコンバータのため,入出力間を絶縁できません。LLC直列共振コンバータは,PFC回路後の絶縁型DC-DCコンバータとして使用するのが最適です。
 高い出力電圧が必要なプラズマディスプレイテレビや,比較的低電圧の液晶テレビに使用しても,2次側整流ダイオードに流れる電流は正弦波状のため,リカバリ電流を気にしないで,低雑音の絶縁型DC-DCコンバータを実現することができます。

3 定常状態の動作波形
 ①入力電圧 340V 出力電流 10A時
波形

TP16
U1 ISNS 電圧 1V/Div
最低入力電圧では、共振周波数より低い動作周波数のため励磁電流が現れます。

TP7

Q2 Vds 200V/Div

2.5us/Div 54kHz


   ②入力電圧 410V 出力電流 10A時

xx

TP16
U1 ISNS 電圧 1V/Di
最大入力電圧では、共振周波数より高い動作周波数のため励磁電流が現れません。


TP7
Q2 Vds 200V/Div

   
2.5us/Div 110kHz
  
                                              
 入力電圧範囲内では、トランスの1次巻き線に流れる共振電流はノイズの少ない共振電流が流れQ2のスイッチ電圧波形も素子の寄生容量をによるゼロ電圧スイッチ(ZVS)か行われ、髭等の無い低ノイズ波形で動作しています。

4 
負荷急変時の動作波形
 
①入力電圧 410V  出力電流 0A10A 急変時


    U1 ISNS 電圧 1V/Div

    負荷電流 Io 0
10A
    5A/Div

    Q2 Vds 200V/Div


   
 
    250us/Div

     時間軸拡大 負荷0A
10A
   
   バーストモードより共振外れを起こさず発振開始して
    負荷に追従しています。


   



        25us/Div

  


    時間軸拡大 負荷10A0A


    動作状態より共振外れを起こさず発振を停止して
    バーストモードに移行しています。




   
    50us/Div



5  入力電圧投入時動作波形
 ① 出力電流 10A 設定 入力電圧 410V 投入



出力電圧 Eo 10V/Div

U1 ISNS 電圧 2V/Div

Q2 Vgs 20V/Div

Q2 Vds 200V/Div

100us/Div
 


時間軸拡大 起動開始時


Q2は、起動時、ONを保持した状態で起動開始
 

共振電流が流れています




10us/Div




時間軸拡大 起動開始時


起動開始と同時に
共振電流が増大し、ISNS電圧が増大します。

起動中の
OCP1は無視されるのでコンパレートレベル4Vより
大きい6V程度出力されています。


共振外れは起こしていません。



10us/Div

      
6  入力電圧遮断時動作波形
  ① 出力電流 10A 設定 入力電圧 410V ⇒遮断

出力電圧 Eo 10V/Div

U1 ISNS 電圧 2V/Div


Q2 Vds 200V/Div

10ms/Div


時間軸拡大 入力遮断

ISNS 電圧は約4Vでクランプされピーク
電流制限OCP1が動作しています。

共振外れは起こしておらず、Vdsの跳ねも発生していません。



100us/Div

                                                                               
7 バーズトモード動作波形
  ①入力電圧
410V 設定 負荷 0A

出力電圧 Eo 100mVAC/Div

U1 ISNS 電圧 2V/Div

Q2 Vds 200V/Div


100ms/Div



共振外れは起こしておらず、Vdsの跳ねも発生していません。




25us/Div

      
8  出力電流トランジェント
波形
  ①入力電圧 340V 設定 負荷 0A⇔10A

xx

出力電圧 Eo 200mVAC/Div

出力電流 Io 10A/Div
U1 ISNS 電圧 2V/Div

Q2 Vds 500V/Div

1ms/Div


    ②入力電圧 410V 設定 負荷 0A⇔10A
xx

340V入力では無負荷時バーストモードに移行しますが、
410V入力では出力電圧の復帰に
時間がかかり
バーストモードにはなりません。



  9  バースト時の消費電力
    
入力390V時、ACスタート用電源を除き約50mWとなりました。スタンバイ時の電力を非常に低く設定されています。

 
10 まとめ
    3項から8項までのLLC直列共振コンバータの欠点である軽負荷時動作、トランジェント動作を中心に試験しました。その結果、共振外れを起こすようなことはなく安定に動作することを確認しました。
   
また、スタンバイ電力も非常に低いことを確認しました。

 
■終わりに
    
日本における電源設計では、非常に厳しい目線での製品評価が一般的です。
   この製品は、多くのアプリケーションにご検討頂ける非常に優れた製品となっております。

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